HISTORY 2009年度

サイエンスカフェはりまの過去のイベント開催内容をご紹介します。


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サイエンスカフェはりまNo.7&サイエンスカフェひょうごin姫路
「死別悲嘆のはなし」

開催日2010.3.20(土)15:00〜17:00
ゲスト坂口 幸弘さん(関西学院大学人間福祉学部
場所野里の町家 大野邸(姫路市野里)
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 今回は悲嘆の定義、種類、研究動向などについてお話を伺いました。悲嘆は特別なことではなく、死別に限らず何か大きな喪失体験の後には誰にでも起こりうるものであること、悲嘆そのものは通常の身体的、心理的、行動的な反応であるが、日常生活に支障をきたすようになると複雑性悲嘆となり、治療的介入が必要になること、2000年ごろから研究件数が増加してきたことなどデータを示しながらお話をいただきました。
 約25名の参加者からは、実にさまざまな意見が出されました。たとえば、「死や死別などについては、みんなが関心を持っているにもかかわらず、日常的にはなかなかそういったテーマについて話し合うことが困難。この様な場で話し合うことはよいことだ。」といった肯定的な意見が述べられた一方で、「研究という言葉が頻繁に出てくるのはあまり良い感じがしない」というややネガティヴな意見も聞かれました。後者については、ゲストスピーカーの責任ではなく「サイエンス」という文脈で話して欲しいとした、主催者側にその責があることを理解していただきました。また、「悲嘆」に陥るのは精神の鍛え方が足りないのではないか、というような超精神主義的な意見も聞かれました。悲嘆に打ちひしがれる遺族にこのようなことを述べるのは不適切かもしれませんが、カフェという場だからこそこのような発言も聞かれ、実にさまざまな意見を持っている人がいるということがわかりました。
 発言が特定の参加者にやや偏りがちな面もありましたが、参加者にとって死生観などを考えるよい機会になったと思います。

No.6 「『シルクロードのくすり』を訪ねて」

開催日2010.01.09(土)
ゲスト本多 義昭さん(姫路獨協大学薬学部長)
場所姫路独協大学薬学部 1階会議室
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 シルクロードに沿って、西から、アラビア、中央アジア、中国と大きく3つの地域に区分し、地域ごとの特徴についてお話いただきました。薬草とその効能についての話だけではなく、調査旅行時の現地の様子などもお話いただきました。
アラビアでは、植物採集も重要なのですが、薬草を扱う薬物商や、現地のお年よりからの情報収集も重要であるとのことでした。場合によっては、本来の薬効成分とは異なる使われ方をされていることもあるそうです。しかし、だからといってそれは無価値の情報ではなく、歴史的・文化的な意味があるとのことで、当該分野の幅広さを垣間見る思いがしました。中央アジアでは、特に薬物商といったものがなく、薬草は食材のように扱われているとのことです。この地域での情報収集は伝統医または草医と呼ばれる人たちですが、薬物に関する情報は彼らにとっては秘伝情報(いわゆる企業秘密)になるため、なかなか教えてくれないそうです。34名の参加者は、この地域に広く自生するカンゾウ(甘草)のサンプルを実際に嗅いだり、噛んだりして、五感を用いてのカフェとなりました。中国では後漢の時代に薬草に関する知識が蓄えられ唐の時代に遣唐使を通じてわが国に伝わり、正倉院の薬物として保存されているとのことです。
 また、姫路獨協大学薬学部で開発された3種のお茶(ヨーロッパ系、中国系、日本系)をご提供いただき、それを味わいながらの文字通りのカフェとなりました。当カフェ開催に当たりましては、ゲストの本多義昭さん、はりま第1回のゲストの通山由美さんをはじめ薬学部の関係者の皆様に多大なご尽力をいただきましたことを申し添えて、この場をお借りしてお礼申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

No.5 「姫路城周辺の植物観察をしよう!」

開催日2009.6.14(日)
ゲスト家永 善文さん(元姫路市立科学館館長)
場所姫路城周辺(野外)
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 いったんは梅雨入りをしながらも好天が続く気候の中、サイエンスカフェはりまでは初の野外 カフェを実施しました。この日のゲストは、長年に渡り生物教諭として高校教育に貢献され る一方、40年来姫路城周辺の植物調査を続けられるなど、環境教育・自然保護思想の普 及活動により2007年度環境大臣賞(自然公園関係功労者)を受賞された家永善文さ ん。家永さんの案内で姫路城周辺を散策しながら、植物の観察を行いました。
 家永さんの解説は植物の説明にとどまらず歴史や文学などにもおよび、普段あまり気がつ かないものを発見できた思いでした。途中少し小雨が降ったものの無事に姫路城周 辺を一周し、充実したカフェとなりました。