HISTORY

サイエンスカフェはりまの過去のイベント開催内容をご紹介します。


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サイエンスカフェはりまNo.37 サイエンスツアーNo.5
玄武洞とコウノトリの郷を訪ねて

開催日 2015年3月22日(日)8:30〜18:15
ゲスト 新井敏夫さん(新井サイエンス学習センター)
木村一成さん(兵庫県立御影高等学校)

場所 玄武洞公園、玄武洞ミュージアム
コウノトリの郷公園とコウノトリ文化館
参加募集時の詳細はこちら

まず今回はバス移動中にも植生や自然の景観を眺めながら地質年代や地質構造の特徴をお話いただきました。姫路周辺は酸性火山岩類が多く、亜鉛・スズ・銀・金など鉱物資源が多いことや、玄武洞などの北但層群は比較的新しい地史があることなど、何気ない風景の中から播磨の地質図が浮かび上がることに参加者は新たな視点を得たようでした。
 玄武洞公園を散策しながら、約160年前に起きた火山活動で流れ出したマグマが冷え固まる際に規則正しい割れ目を作り出し、柱状に形成された摂理の美しさを感じつつ、日本で最初に地磁気の逆転が発見された場所であるという地質学上の重要性をお話しいただきながら、自然が作り出す景観のダイナミックさと神秘に参加者は感服していたようでした。
 玄武洞ミュージアムでは世界中の鉱物や化石が展示されており、鉱物の美しさや多様性を学ぶことができたようでした。コウノトリの郷公園では自然界で一度姿を消したコウノトリの人工飼育や、人里に返していくまでの壮大なプロジェクトをご紹介いただき、コウノトリが野生で政策できるための里山や田んぼ、川や水路といった自然環境づくりへの取り組みに参加者の中には涙を流す方もおられました。
 コウノトリは鳴かないかわりにクラッタリングすることや、給餌は結果的に他種鳥の餌付けになっているので課題であることもお話しいただきました。
 アンケートでは「子どもの視野が広がった」「山の見方が変わった」「自然の力はすごい」という一方で「集合場所の案内が不明瞭だった」「玄武洞見学の時間が短かった」「ゲストスピーカーともっと交流したかった」との意見があったが概ね参加者は満足し、多彩な学びの機会となったようでした。
 ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

サイエンスカフェはりまNo.36
科学って文化なの? −その2−

開催日 2015年1月24日(土)15:00〜17:00
ゲスト 池内 了さん
(宇宙物理学者 名古屋大学名誉教授  前総合研究大学院大学理事)
場所 南風会サロン 姫路市亀井町97藤原歯科2F
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今年2月キャスパホールにて、池内さんの講演会を開催し、科学を文化として楽しむこと、自然を一体としてとらえることなど、様々な興味深いお話をしていただきました。今回はその続きのお話として、文学・歴史・芸能・民俗と科学を結び合わせ、文学に科学を読み解くといった、理系知と文系知を結び合わせる新しい博物学の可能性を、池内さんの著書紹介も交え、具体的な例をお話していただきました。
 文系の人でも親しめる新しい知の例として、鴨長明による『方丈記』の泡の儚さの記述を抜粋し、科学的観点から見た泡のたくましさ、内部にエネルギーを持つ性質などをご紹介いただきました。さらに、星の爆発や宇宙の大規模構造を巨大な泡として捉えるといった視点も示唆され、文学的な日常の風景から宇宙観へ広げる学際的なお話に参加者は熱心に耳を傾けておられました。
 チューリップバブルやゴキブリの知覚能力のすごさなどもご紹介いただき、科学とは一見関係しそうにない文学作品や歴史から、日常には科学が溢れていることを示され、科学も物語のように語ることができることをお話いただきました。
 また、X線ハローのスライドなども見せていただき、万有引力や暗黒物質のことや、重力レンズはメガネをかけて宇宙を見ているようなものだということもご紹介いただき、参加者からは宇宙や物理に関する質問が相次ぎました。終了後にいただいたアンケートでは概ねご好評いただきまして、今回のテーマについて興味・関心を持っていただけたことが伺えましたが、前回同様に時間内でお話は終わらず、今後も引き続き考えていく必要がある、興味・関心の高い内容だったのではないかと思います。  
ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

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サイエンスカフェはりまNo.35
疲労の科学 -癒される風景の秘密-

開催日 2015年1月16日(金)18:30〜20:30
ゲスト 水野 敬さん
理化学研究所・ライフサイエンス技術基盤 研究員
大阪市立大学・院・医・疲労医学 特任講師

場所 Bistrot Zebra
姫路市綿町63藤野ビル1F
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 今回は、疲労科学の観点から癒やされる風景の秘密を研究されている水野敬さんをゲストに迎え、自分好みの風景写真を眺めることで癒し効果が得られることや、癒される風景、癒されない風景について分かりやすくお話していただきました。
 まず、明るく前向きなポジティブ生活と、集中できず不安がつのるネガティブ生活の根底には睡眠が大きく関係しており、日中の心の状態が睡眠の状態を左右しているということをお話ししていただきました。現代の日本人は大人の40%が慢性疲労、小学生の10%、中学生の20%が長く疲労しており、最近では60%の中学生が疲労しているという調査結果が出ているそうです。疲労具合を測る2バック課題や、仮名拾いテスト、MRIを使った方法に基づく統計結果から、日中に疲れて脳の温度が上昇すると睡眠の質と睡眠時間も低下し、学習意欲や注意配分能力が落ちてしまうことをご紹介いただきました。
 また、不登校児童・不登校生徒の約60%が小児慢性疲労症候群の可能性があるということも伺い、太陽の光に合わせたライフスタイルに変えていくためにも親の協力が重要だということも述べられ、現代社会における子どもの疲労と原因について参加者の皆様は興味深く聴いておられました。  そして、癒し画像を見た後にテストをおこなうとリラックス感が維持され、交感神経の過活動が抑えられるという研究結果をご紹介していただき、脳の情動系神経が動くことによりリフレッシュできるということもお話ししていただいきました。癒しには美術鑑賞などで自身を道具立てすることが大切であり、疲れの負のサイクルから抜け出し、「よく寝る社会」を作っていくことの重要性も示唆されました。
 アンケートからは一人(60代女性)が「少し難しかった」、「まあまあわかりやすかった、楽しかった」が各2名程度と答えていたものの、それ以外は、わかりやすく、おもしろかったという内容でした。「末期肺癌の漁師さんが海を見て歯をみがくとスッキリする様で長期生存されたそうです」といった声もあり、参加者間でもコミュニケーションが弾み、普段の生活の中に寄り添う内容であったと思います。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

サイエンスカフェはりまNo.34 サイエンスツアーNo.4
巨大望遠鏡と巨大顕微鏡を訪ねる旅
超マクロから超ミクロの世界まで、この世の謎と不思議に迫る!
〜なゆたとSPring-8を通して垣間見る自然の神秘〜

開催日 2014年12月7日(日)14:30〜12月8日(月)
ゲスト 高橋 隼さん
兵庫県立大学 西はりま天文台 研究員)

岡田京子さん
(高輝度光科学研究センター利用研究促進部門)
場所 理研放射光科学総合研究センター 大型放射光施設SPring-8
兵庫県立大学 西はりま天文台
参加募集時の詳細はこちら

 12月7日(日)、8日(月)の二日間にわたり、兵庫県立大学西はりま天文台と理化学研究所の大型放射光施設SPring-8を訪ねるサイエンスツアーを企画し、22名(内、スタッフ4名)の参加者を迎えて実施しました。
 初日は西はりま天文台にてお話を伺い、さらに日本最大の2m望遠鏡「なゆた」及び野外での天体観測を行いました。この日は月が非常に明るく、天体観測にはあまり向かない日ではあったものの、アルマックやカペラ、プレアデス星団(すばる)など、たくさんの星を観測することができました。非常に寒い夜でしたが、「なゆた」が動く様子に見とれ、解説をしていただいた鳴沢氏の軽妙な語り口に惹き込まれながらのあっという間の観望会でした。
 二日目は午前中に再び西はりま天文台に訪問し、高橋氏の解説とともに60cm望遠鏡を見学し、太陽観測も行いました。プロミネンスや黒点も観測することができました。また、特別に「なゆた」のコントロールルームにも入れていただき、「なゆた」を実際に動かす体験をし、多くの参加者が感激の声をあげていました。
 午後には、「SPring-8」に移動し、まずは岡田氏から解説と光の特性を示す蛍光実験の実演をしていただきました。X線自由電子レーザー「SACLA」のビームライン、それからSPring-8のビームラインと中央制御室もガラス越しに見学させていただきました。さらに、SPring-8の施設内にある兵庫県立大学の放射光施設「NewSUBARU」では、特別に管理区域内のビームラインにも立ち入り、梅咲氏と神田氏より解説をしていただきました。
 参加者は尼崎から来られた熱心な方もおり、「いつか見てみたい」と思っていた施設についに訪問することができ、感激」「普段は入れない所も見せていただき、参加してよかった」といった声も聞かれ、高い満足度を得られました。また、「研究者が楽しそうに実験をしているところが見られてよかった」という意見も聞かれ、研究現場と一般市民の壁を多少でも低くすることに貢献できたと思われます。
 また、今回、町営宿泊施設「笹ヶ丘荘」や道の駅「ひらふく」を利用し、参加者の皆様に播磨の良さを再発見していただく地域探訪のツアーとしても意味があったとも考えています。
 ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

サイエンスカフェはりまNo.33
この高砂で昭和の初めヘリコプターが発明された

開催日 2014.8.24(日)
ゲスト 大西道一さん
(工学博士 東亜天文学会理事、日本スペース ガード協会理事)
場所 明日香 高砂店
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 ゲストスピーカの大西道一さんの父上である大西唯次さん(1892〜1963年)は大正末から昭和初めにかけて兵庫県高砂市でヘリコプターの開発に取り組まれました。
 ヘリコプター開発以前は模型飛行機造りに熱中し、各地の大会で優勝するなど、エンジン自作や動力付スケーター、モーターボート、プロペラ四輪車、カーラジオなど幅広く製作をおこなわれました。大正末から垂直上昇機の研究を開始され、昭和4年に特許を成立、同年には高砂市向島に大西飛行機研究所を設立されました。
 こういった一連のことを取り上げている当時のテレビ放送、模型機の上昇実験映像、開発環境などをスクリーンでご紹介いただきました。もし戦争がなければ、ヘリコプターの歴史は変わっていたのかもしれない、と感じられるような興味深いお話でした。
 質疑応答では「高砂で特許を取得されていた有名人が存在していたことに驚き、感嘆した」といったような意見がありました。 終了後にいただいたアンケートでは概ね好評で、今回のテーマについて興味・関心を持っていただけたことが伺えました。一部、「音声が小さくて聴きづらかった」「(一緒にいった)子どもがつまらなそうであった」という意見もありましたがが、この回答をいただいた方からも他の項目は概ね肯定的でした。
 懇親会は20名余りの参加があり、過去最大の参加人数となりました。大西さんが高校時代に作成されたプラネタリウムの紹介などもあり、参加者の方は喜んでおられました。会の雰囲気、およびアンケート回答から、地元および地元の先人の大きな業績に対する関心が喚起されたと考えられます。
 今回の参加者のご意見などを踏まえつつ、また次回サイエンスカフェに繋いでいきたいと考えています。ご参加いただいた皆様、大西様ありがとうございました。

サイエンスカフェはりまNo.32
きのこ観察会

開催日 2014.7.13(日)
ゲスト 平山 吉澄さん
兵庫きのこグループ
場所 姫路市自然観察の森ネ イチャーセンター
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 今回は、兵庫きのこグループの平山さんをゲストに迎え、きのこ観察会を行いました。きのことはいったいどんな生きものなのか?
姫路にはどれくらいの種類のきのこがあるのか?毒きのこと食べられるきのこの違いは?…等々きのこにまつわる様々なお話を伺いながら、自然観察の森を案内 していただきました。
 キノコには分解菌と菌根菌があり、分解菌は腐敗や弱った木、栄養分のある土壌で生き、菌根菌は特定の樹木の根から栄養をとって生きるそうです。
分解菌と菌根菌を見分けられるようになるまではいきませんでしたが、分解菌は栄養分があれば場所を選ばないので育ちやすいということが理解できました。
 また、分解菌のヒトクチタケというキノコは、胞子を甲虫に食べさせ、甲虫は弱ったマツの洞などに入り込み、甲虫の体についていた胞子がそこでマツから養 分をとって繁殖するという話もありました。普通は甲虫が入って着た場合、マツはマツヤニを出して撃退するのですが、酸性雨などで弱っていると抵抗できず、 ついにはヒトクチタケがマツを分解して枯れてしまうとのことでした。このようなヒトクチタケの戦略に驚く一方、人間の行いによって招かれた酸性雨により自 然界のバランスが崩れていることが感じられました。
 参加者の方からは、最初から最後まで多くの質問が相次ぎました。更に、後日参加者の中から、平山さんの兵庫きのこグループに入会した方もいらっしゃいま した。また、アンケートからは、一人(5歳児)が「やや難しかった」と応えていたものの、それ以外は、わかりやすく、おもしろかったという内容でした。 また、ラジオが聞き取りにくかったのと、人数が多すぎる、時間が短く、説明が少なかったなどの意見もありました。反省点としては前もって採取禁止の件を伝えていなかったことが挙げられます。
 ご参加された方のご意見を踏まえつつ、また次回サイエンスカフェに繋いでいきたいと考えております。
 ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

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サイエンスカフェはりまNo.31
第ニの地球へ

開催日 2014.6.14(土)
ゲスト 高橋 隼さん
兵庫県立大学 西はりま天文台研究員)
場所 野里の 町家 大野邸
参加募集時の詳細はこちら

 今回は、地球照の観測を第二の地球の発見に役立てようと研究されている西はりま天文台研究員の高橋隼さんをゲストに迎え、私たちの地球を遠くから見るこ と、太陽系外惑星探索のお話を伺い、宇宙人としての我々の存在を参加者と共に考えました。
 太陽以外の恒星系に所属する惑星を系外惑星と呼び、現在1800個程度見つかっています。見つけ方としては恒星の発する光のドップラー効果を利用したも のや光度の変化を利用したものなどがあるとのことでした。そのようにして見つかるものの中で、大きさや質量、恒星からの距離が適切な物(水が液体でありえ る、ハビタブルゾーン)が、「第二の地球」の候補となり得るのではということでした。このゾーン内には20個程度見つかっているそうです。
 このような系外惑星が地球と似ているかどうかを調べるためには、まず、我々の地球を遠くから眺めたときにどのように見えるのかを知らねばなりません。そ のためには月齢の小さい時や、皆既日食時に観察される月に投影される地球の影−すなわち地球照を調べることが必要になります。具体的には、地球照のスペク トルや、偏光の様子から、植物、水、酸素などの存在を推定します。天文学者だけでなく、植物学者等他の分野の専門家とも連携を取りながらの研究になるとの ことでした。
 参加者からは、最初から最後まで多くの質問が相次ぎ、今回のテーマに対する強い関心が伺えました。終了後にいただいたアンケートで は概ねご好評いただきまして、一人が「やや難しかった」といったご意見があったものの、ほとんどの参加者の方に、わかりやすく、おもしろかったというご意 見をいただきました。我々の地球について、改めて考え直す良い機会になったものと考えられます。ご参加された方のご意見を踏まえつつ、また次回サイエンス カフェに繋いでいきたいと考えております。
 ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

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サイエンスカフェはりまNo.30
古代ローマ帝国の軍用道路と水道橋

開催日 2014.3.15(土)
ゲスト 大西 道一さん
(工学博士 東亜天文学会理事、日本スペース ガード協会理事)
場所 喫茶みんと
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 今回は、ゲストの大西道一さんから「古代ローマ帝国の軍用道路と水道橋」についてお話をしていただきました。20名近くの参加者様が集い、アットホーム な雰囲気の中、サイエンスカフェは始まりました。冒頭では大西さんの学生時代の思い出などを語っていただき、姫路との由縁や、現在のような研究姿勢がいか にして培われてきたのかを語っていただきました。
 本題では、古代ローマ帝国での水道や街道といったインフラ整備の完成度の高さや、当時のローマ人の考え方、軍隊での行進の様子などを音楽や映画も交えて ご紹介いただきました。映画「クオ・ヴァディス」や「モンテクリスト伯」などの映像もご紹介いただき、はじめての方でもイメージしやすいよう、文化的側面 も取り入れて立体的にお話をしていただきました。
 映画「クオ・ヴァディス」での軍隊の行進シーンは当時のローマ人の息吹を感じさせられ、参加者の方々も音楽にじっと耳を傾け、まるで当時のローマ時代に タイムスリップしたかのような空気が流れていました。大西さんのお話のあとにはティータイムを挟みながら質疑応答や参加者同士での知識や意見交換も行われ ました。大西さんは時計技師の資格なども持っておられ、そういった技術面での質問も含め、幅広い知識をわかりやすくご説明いただきました。
 終了後にいただいたアンケートでは概ねご好評いただきまして、今回のテーマについて興味・関心を持っていただけたことが伺えましたが、「構造や製造法の 話をもっと聞きたかった」といったご意見もありました。また、「予め予備知識を得てから参加したいので講師のほうから参考文献等紹介して欲しい」というお 声をいただきました。ご参加された方のこのようなご意見を踏まえつつ、また次回サイエンスカフェに繋いでいきたいと考えております。
 ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

サイエンスカフェはりまNo.29 第1回文化講演会
「科学って文化なの?」

開催日 2014.2.22(土)
ゲスト 池内 了さん(総合研究大学院大学
場所 姫 路キャスパホール
参加募集時の詳細はこちら

 ゲストの池内さんは、まず文化を「人間の精神的な活動の成果とし、見返りを要求しないもの、あること自体がたいせつなもの、なくなればさみしいもの」と して定義されました。科学もその中に含まれ、楽しむ態度が重要と述べられました。楽しむポイントは、予言力、洞察力の偉大さ、関係性、歴史性の発見、一つ の発見が広大に進展していくことなど、例を交えて分かりやすくお話いただきました。
 また、科学知と人間知、科学と文学の話題も紹介していただきました。いつものサイエンスカフェではなく講演会であったため、それほど多くの質疑応答の時 間はとれないながらも3〜4件のご質問をいただき、最後は時間の都合で質問を打ち切らなければ、つぎつぎと質問が出てきそうな雰囲気でした。質問に対する 回答の中で、「身近にあることでもデータを積み重ねていけば重要なデータになりうる」と言われたことが非常に印象的でした。
 アンケートでは、興味深かった、分かりやすかったとの回答が多数を占め、自由記述欄では、目からうろこ、普段から思っていたことが裏付けられてよかっ た、感銘を受けた、卒論の参考にしたい、等の記載をいただきました。さらに、続編を是非開催して欲しい、時間の都合で端折られた部分も是非聞きたい、とい うお声も多数いただきました。これらのことから、本講演会は参加者の興味・関心を大いに喚起し、科学そのものについて、更に科学と社会のあり方について考 える機会を持っていただけたものと思います。
 ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

サイエンスカフェはりまNo.28
「芸術と数学の出合い 〜Art meets Mathematics〜」

開催日 2013.12.14(土)
ゲスト 牛尾啓三さん(彫刻家)
中裕明さん(数学者 兵庫教育大学自然系教育講座)
場所 カフェ・ハウス炭焼小屋
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 まずゲストの牛尾さんから、各地のご自身の作品や製作の様子の動画を紹介していただきました。製作の様子は、削るだけでなくその後の作品の分離や設置の 様子なども含まれており、とても興味深いものでした。また、「砂岩は粘い」といったような石を削る人ならではのお話やご自身の作品の系列も紹介いただきま した。さらに渡航や運搬、通関に掛かる業務やビジネスなど作品製作だけではないリアルな芸術家像をうかがい知る事ができました。
 その後、数学者の中さんに牛尾作品を引用しながらの位相幾何学の話、やわらかい幾何学などと称されること、紐の結び目などとも深く関連していることを 伺いました。錯視や不可能図形との関わり−部分的整合性、全体的不整合性−をご自身で作成された「不可能シャツ」とともに紹介されました。さらにバンドや 紙片を用いた簡単な実験を参加者も交えてその場で行いました。参加者のみなさんは、予測し得なかった意外な結果に非常に興味を寄せていらっしゃいました。
 牛尾さんの「複雑さを追及すればいろいろなものはコンピュータでいくらでもできる」、中さんの「わかりやすいわかりにくさ(優れたパズルの条件として の)」という言葉が印象的でお二方に共通する、あるいは芸術と数学に共通する美の概念の一端を垣間見たようでした。アンケート結果からは、30名の参加者 中1名が「もう少し深い話を」という要望がありましたが、それ以外は、楽しく、興味深いとの回答が寄せられ、数学と芸術分野、あるいは異分野が邂逅するこ とのおもしろさを充分に感じ取ってもらえたと思います。
 ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

サイエンスカフェはりまNo.27
「姫路城周辺の植物観察〜秋冬版〜」

開催日 2013.12.1(日)
ゲスト 家永善文さん(元姫路科学館長)
場所 姫路城周辺 
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 今回は予定定員(30名)を大きく上回る39名の方から参加希望をいただき、当初からこの分野に対する関心の高さがうかがえました。またゲストの家永さ んのご意向により皆様にご参加していただくことができました。
 お城の堀端の柳の枝の長さの非対称性(堀側の方が光の反射を受けて長い)、原始林の多様性、イチョウの木の雌雄とその形状、枝刈り込みによる葉の形状へ の影響、市基準のサクラの木、紅葉の仕組み、カエデとフウ(楓)の違いなど、身近にありながら知らなかった、気づいていなかった様々なお話を伺うことがで きました。
 また、植物に関する民俗行事やその漢字の言われなど、歴史や民俗分野のお話も伺う事ができました。家永さんには、一方的なお話だけではなく、興味深い問 いかけをしながら観察会を行っていただき、参加者からゲストへ、また、参加者同士でも多くのコミュニケーションができたようです。
 アンケートでは、小学生のお1人から内容が難しいとの回答をいただきましたが、それを除いては、楽しかった、分かりやすかった、更に興味を持った、との 回答をいただきました。さらに、他の地域での植物観察会も行って欲しいという具体的提案もいただき、身近な自然に大いに興味を持っていただけたものと思い ます。
 ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

サイエンスカフェはりまNo.26
「ビジュアルで計算結果を理解しよう! 〜スパコンだけではダメなんです〜」

開催日 2013.11.30(土)
ゲスト 小野謙二さん(理化学研究所 計算科学研究機構)
場所 明日香 高砂店 
参加募集時の詳細はこちら

 今回は、世界最速クラスのスーパーコンピュータ「京」を使った計算結果を“見える化”する研究者である小野さんをゲストに迎えました。
 まずは、さまざまな可視化事例として株価の動きや路線図、思考の可視化であるマインドマップなどを紹介していただき、事象を絵や画像にすることの意義を 再確認しました。視覚から情報が入ってくると、脳は自然に既知の情報と比較して類似点を探したり、パターンマッチングをしたりして、それがひらめきにつな がり、論理的考察の元となるということでした。
 計算機シミュレーションは自然現象を方程式で表して解を計算機で求めるというもので、現象の一部を拡大・縮小させたり、スロー・早送りさせたり、安全性 などの理由から実験できない事象でも模擬することができる優れた手法ですが、解を求めるだけではやはり不十分で、動画や絵にすることで本当の理解が進むと いうことも伺いました。その反面、人間の視覚はだまされやすく、思い込みや錯覚も起こり得るということを、たくさんの錯視画像などを通して体感することが できました。可視化するためには、現象を説明するために最も適切な表現方法(色づかい、スケッチか画像か、影の有無など)を選ぶことが重要であるとのこと でした。
 フォークボールや航空機の羽まわりの空気の流れ方や自動車の衝突時の壊れ方、心臓の動き方など、たくさんの身近な現象の可視化映像なども見せていただ き、参加者からは驚きの声とともにたくさんの質問が寄せられました。今回は16名という少人数での開催でしたが、その分、カフェらしくリラックスして楽し んでいただけたと思います。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

サイエンスカフェはりまNo.25
「環境中でたくましく生きる微生物」

開催日 2013.11.10(日)
ゲスト 川井眞好さん(姫路獨協大学薬学部)
場所 野里の 町家 大野邸 
参加募集時の詳細はこちら

 

 ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

サイエンスカフェはりまNo.24&サイエンスツアーNo.3
「スーパーカミオカンデと恐竜博物館を訪ねて」

開催日 2013.8.25(日)〜26(月)
ゲスト 竹内康雄さん 神戸大学大学院理学研究科
徳川広和さん 恐竜・古生物復元造形作家、晦ctoW
場所 神岡宇宙素粒子研究施設、福井県立恐竜博物館
参加募集時の詳細はこちら

 大雨・洪水警報発令の中、参加者は1人もかけることなく時間通りに集合し、一路、恐竜博物館に向かいました。車中では、ゲストの徳川さんからは恐竜と恐 竜でないもの、科学的根拠に基づいた造形作家としての立場などのお話を伺いました。竹内さんから は物質と力の種類、この世(宇宙)の大まかな歴史の説明をしていただきました。
 恐竜博物館では数多くの骨格展示、実物大のジオラマ模型、数mm程度の化石などを見学し、生命の歴史などを学びました。3時間弱滞在しましたが、展示物 も多く内容が濃く、まだまだ見足りない感を残しつつ博物館を後にしました。
 1日目のホテルでの夕食では、参加者間の交流が多くなされ、コミュニケーションを図るというサイエンスカフェの目的も果たしえたと思います。また、この ときにサイエンスカフェ富山主催者との情報交換も行いました。その時の様子がこちらにに掲載されています。富山は月1回 のハイペースで開催、第1回目のゲストは、神岡宇宙素粒子研究施設の鈴木センター長であったことなどを伺いました。
 2日目の神岡宇宙素粒子研究施設では、スーパーカミオカンデ(SK)、カムランド(KL)、キャンドルズ(CD)を見学しました。それぞれニュートリノ を捉える検出器ですが、SKでは陽子崩壊時、太陽起源、大気起源、超新星爆発時のニュートリノを、KLとCD は二重ベータ崩壊時等の低エネルギーのニュートリノを検出するという違いがあるそうです。これらを用いて宇宙の成り立ちや我々の物理的存在理由が明らかに なるとのことでした。KLでは東北大学の古賀先生に、CDでは大阪大学の吉田先生に、また、見学受け入れに関しては谷村さんに、チラシに用いた広報写真に ついては柏さんにお世話になりました。この場をお借りしてお礼申し上げます。
 アンケートからは、素粒子の話が少し難しかったと言う感想も見られましたが、その方をも含めて、良かった、満足であったとの評価を頂きました。
 ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

高砂夏休み子ども教室 第12回 三菱重工 サイエンス・サマースクール
「科学マジックと空気・水の実験〜空気と水の不思議を体験しよう〜」

開催日 2013.7.27(土)
講師 井上一晴さん(元小学校教諭、堺市理科支援員)
場所 三菱重工業轄mサ製作所社員クラブ2階大集会室

 去る7月27日(土)、サイエンスカフェはりまの活動をご支援いただいている三菱重工業轄mサ製作所主催、サイエンイカフェはりま協力の下、サイエン ス・サマー スクール「科学マジックと空気・水の実験〜空気と水の不思議を体験しよう〜」が開催されました。
 元小学校教諭、堺市理科支援員の井上一晴さんを講師として、風船や吸盤、割り箸や新聞紙、ペットボトル、段ボールなど身近にあるさまざまな素材を用いて 水と空気の不思議な性質について実験・実演および工作が行われました。
 サイエンスカフェはりまとしては、講師の紹介および打ち合わせ等の仲介、実験器材の一部の調達、講師への細かい費用の立替払い等の協力をさせていただき ました。
 サマースクール終了後、アンケートをとらせていただいたところ、子どもにとっては長時間の行事にも拘らず、非常に満足した、興味を持った旨の回答が多く 寄せられました。また、一部保護者からは「内容が多すぎた」、あるいは逆に「低学年向きだった」等の意見も寄せられたものの、概ね、子どもたちに対して、 身近な自然現象を科学的にとらえることに興味・関心を持ってもらえたと思います。
 ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。