HISTORY 2012年度

サイエンスカフェはりまの過去のイベント開催内容をご紹介します。


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サイエンスカフェはりまNo.23
「ときめくときのおはなし」

開催日2013年3月12日(火) 18:30〜20:30
ゲスト 井上 毅さん (明石市立天文科学館
場所 Bistrot ZEBRA(姫路市綿町63藤野ビル1F)
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 開催日はちょうどパンスターズ彗星の接近日に当たっていたので、まず戸外へ出てゲストの井上さん指導の下、観望を試みました。残念ながら彗星は観望できなかったものの、日没から周囲がだんだん暗くなっていく様子(薄明状態)を直接に感じることができました。日没は毎日繰り返されてはいるものの、日常の生活ではこのような変化を如何に意識しないで生活しているかということを身をもって知る事ができました。
 会場内に戻った後は、大正9年に開催された展覧会の資料・ポスター類を用いて、その中で時間にまつわる様々な話題が提供されました。天体運行で定められていた時刻が機械的に定義されるようになり、ズレが生じるようになってきたこと、昼の12時から1時までの時刻の呼称は法的には定められていないこと、時刻が12進法で定められているにも拘らず12という数字を使うところに問題があること、経度0の設定時に英仏の争いがあり、フランスではいまだにわざとらしい時刻の定義をしていること、今のように時間に追われる生活のきっかけになったのが伊藤博文の生活改善同盟であることなど、身近ながら、あるいは身近すぎる故に、全く知る由もなかった興味深いお話をたくさん伺うことができました。
 参加された方のアンケートからも、楽しかった、興味深かった、今後も参加してみたいとの回答を多くいただき、身近な「時」を改めて見直す良いきっかけになったと思われます。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

サイエンスカフェはりまNo.22
「星と惑星ができるまで」

開催日2013年2月23日(土) 15:00〜17:00
ゲスト 高木 悠平さん (兵庫県立西はりま天文台研究員)
場所 明日香 高砂店(高砂市高砂町朝日町2-6-10)
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 今回は、宇宙に漂うガスや塵に「たまたま」密度の高い所ができると、そこが他の部分より質量が大きくなり、重力により周りの物質を引き寄せ成長し、恒星や惑星になっていくことや、質量がある程度以上大きくなると中心部で核融合を起こし輝き始めること(=恒星の誕生)、ガス惑星でも中心部は個体になっていると考えられることなど、天体形成に関するお話を伺いました。また、観測される恒星の大きさは大気のゆれによって決まり、実際には、太陽系で言えば海王星の軌道ぐらいまでの大きさを見ていることになること、マスキングを施すことで木星、土星軌道レベルまで光の滲みを抑えて太陽系外の惑星観測を行えることなども、とても興味深いお話でした。
 参加者からは星の形成、観測に関する話題にとどまらず、宇宙や天体、さらに環境・気象におよぶまでありとあらゆる質問が出され、活発な質疑応答、意見交換が 行われ、参加された方のアンケートからは、質問のテーマを絞るべきとのご意見もいただきました。全体的には、楽しく、興味深い時間を過ごせたとの感想もいただきました。
 また、ゲスト側においても、一般の方がどのようなことに興味・関心を持ち、疑問に思われるのかということがよく分かったという感想をいただき、研究者と市民が相互に距離を近づけることができた会になりました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

サイエンスカフェはりまNo.21
「科学を身近なものに 〜予は如何にして科学大好き文系女子となりし乎〜」

開催日2013年1月26日(土) 18:00〜20:00
ゲスト 木村 絢子さん (理カフェ宙学・地学(そらがく・ちがく)カフェ
場所 納屋工房(姫路市本町68 大手前第一ビル4階)
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 科学を苦手とする人、避ける人が多い、いわゆる文系の人々。その文系に分類される ゲストスピーカの木村さんが、現在の科学普及活動をどのように始められたかという お話をまず伺いました。特に、理数科目は「苦手」ではあったが、嫌いではなかったこと、興味の赴くままに(苦手/得意に拘わらず)様々な活動を始めていったこと、その際、好奇心+少しの勇気+行動力が必要であることなどを伺いました。
 その後、参加者も交えて各自の科学体験や思いなどを話し合いました。参加者からは、文系/理系と分けてしまうこと自体がおかしいのではないかという根源的な意見も出されました。今回、参加人数はいつもより少なめではありましたが、参加者からたくさんの発言があり、結果的には、市民間のコミュニケーションを図るというサイエンスカフェの本来目指すものに近い形のものとなったと思います。積極的なご参加、ありがとうございました。

サイエンスカフェはりまNo.20
「冬の天文教室 〜望遠鏡を組み立てて星空を覗いてみよう〜」

開催日2012.12.22(土)15:00〜17:00 観望会17:30〜19:30
ゲスト 小関 高明さん (姫路科学館
場所 高砂青年の家 第一研修室(高砂市向島町1710)
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 高砂市青年の家にて、姫路科学館の小関高明さんをゲストにお招きして開催しました。多くのご家族連れとともに大人のみの参加者にもお越しいただき、合計33名の方にご参加いただきました。
 メインの望遠鏡キット制作の前に、今年観測できた金環日食の話、世界中に日食を追いかけて観察する日食ハンターの話、また、望遠鏡の簡単な歴史や性能の話をしていただきました。たとえば、ガリレオの望遠鏡による像はクリアである反面、視野が狭くて見にくい(これは今回制作するキットにも含まれていて、参加者は実感する事ができました)など、興味深いお話をしていただきました。また、望遠鏡の性能は倍率よりも、集光力や解像度で評価し、倍率が高ければ良いというものでもないということも教わりました。
 キット制作は筒の押し込み時などかなり力を要するプロセスもあり、子どもにとっては少し難しかった面もあったようですが、参加者の皆さんは本当に熱心に取り組まれていました。
 完成後に自由参加で観望会を行いましたが、参加者の半分以上の方が続けて参加されました。木星、月、すばるなどを観望しました。やはり、自分で作った望遠鏡による観望ということもあり、みなさん熱心に覗かれていました。小関さんや、高校の理科教諭で今回観望会を指導いただいた辻正文さんには、大型の望遠鏡も持参していただき、子どもにとっても大人にとっても興味深いものになったと思われます。
 帰り際には、少なからぬ参加者の方からお礼と共に「面白かった」との感想をいただきました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

サイエンスカフェはりまNo.19&サイエンスツアーNo.2
「山陰海岸ジオパークと香住鶴酒造を訪ねて」

開催日2012.10.8(土)8:30〜18:00
ゲスト 先山 徹さん (兵庫県立大学自然・環境科学研究所、山陰海岸ジオパーク推進協議会事務局)
場所 香住海岸および香住鶴酒造
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 ジオパークとは、科学的に重要で見た目にも美しい地質構造を含む自然公園のことです。今回は、山陰海岸ジオパークの一部である香住海岸を訪れ、様々な形状、模様の断崖や小島等を観察しました。また、香住鶴酒造を訪れ、長年に渡って杜氏たちが培ってきた技術の一端を見学しました。
 香住海岸(今子浦)からの観察、遊覧船に乗っての観察により、独特の風景を楽しむと同時に荒い波により削られた地形であること(切り立った岩+平らなところ)が実感できました。さらに、日本列島の成り立ち、日本海の成り立ちなど地質的な歴史が、山陰海岸のカニのおいしさに関連していることや、花崗岩を通って流れてくる水が酒の旨さに関連していることなど、地質の状態が私たちの生活全般に大きく関わっている事を学べました。
 参加者のアンケート結果からも、楽しかった、今後も参加したいとの回答が多く寄せられました。今回のツアーを通して参加者の皆さんが地質や地形により大きな関心を持ってくださったと思います。さらに、地質の自然科学的な側面のみではなく、社会、経済的、文化的な側面にも関心が寄せられました。まさに、世界遺産とは異なるジオパークの意義を参加者が直に感じ取ったような、非常に良いきっかけになったと考えられます。
 ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

サイエンスカフェはりまNo.18
「水の不思議なものがたり〜生活の中の科学(化学)〜」

開催日2012.9.8(土)16:00〜18:00
ゲスト 曽谷 紀之さん(たつのあいあい塾塾長、神戸大学名誉教授)
場所 カフェ&ダイニング 霑 (姫路市新在家1-3-7)
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 歴史的な人類と水との関わり、水の分子構造やそこから導き出される水の物質としての特異な性質、さらに、エネルギーとして利用される水やアルコールとの関わり、最近良く売れているミネラルウォーターや海洋深層水まで、”私たちの暮らしに関わる水”について、さまざまな話題を簡単な実験を交えながら分かりやすくお話していただきました。当日行ったアンケートからは、少数ながら少し難しかったという意見もみられましたが、大多数の参加者からは楽しく、興味深かったとの感想をいただきました。今回のカフェは”身近な水”に対して、マクロとミクロの両面の視点から科学的に捉えるきっかけとなったと思います。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

サイエンスカフェはりまNo.17&サイエンスツアーNo.1
「鹿ヶ壺の甌穴群と地層、千年家を訪ねて」

開催日2012.8.11(土)10:00〜17:00
ゲスト 新井 敏夫さん (新井サイエンス学習センター)
木村 一成さん (兵庫県立御影高等学校)
森 恒裕さん (姫路市埋蔵文化財センター)
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 専門家によるわかりやすい解説を受けつつ、緑と水に囲まれた県指定の名勝である鹿ヶ壷や重要文化財である千年家を実際に見たり感じたりする中で、普段あまり馴染みのない、考古学や地質学という分野に身近に親しむことができたと思います。見学後の質疑応答の時間には、予定の1時間を超えるほど質問が活発に飛び交い、終了時のアンケートからも「とても楽しかった」「説明が聞けてよかった」というご感想を多くいただきました。
 「地質と歴史」という今回のテーマが示すように、古代人の営みと悠久の自然の営みの両方を体感することができるよいツアーになったと感じています。サイエンスカフェはりまとして初めて企画したツアーだったため、運営の仕方等で反省すべき点もありましたが、ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。今後のツアーにもぜひご期待ください。

サイエンスカフェはりまNo.16
「記憶の不思議」

開催日2012.7.14(土)15:00〜17:00
ゲスト 増本 康平さん(神戸大学大学院 人間発達環境学研究科)
場所 喫茶みんと (姫路市本町68 アトリエ剣2階)
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 今回は認知神経科学の立場からの記憶研究についてのお話を伺いました。脳トレはその課題に関してのみ有効であって、課題が変わると訓練の効果が現れないこと、私たちがいかに現実世界を見ていないか(その一部しか見ていないか)、記憶(=思い出)と客観的事実は異なることなどを伺いました。しかも、ただ話を聞くだけでなく、その根拠となるような簡単な実験も交えての話題提供であったため、参加者の皆さんも実感を持って理解する事ができたと思われます。記憶力を高めるために最も大切な事は「興味」である事、ながら勉強は極めて効率が悪いこと、学習理論に基づく褒める事の大切さなど、すぐにも適用できそうな、日常生活に直結するお話もありました。
 親御さん(と思われる)参加者からはひっきりなしに質問が飛び交い、一時は子育て悩み相談室の様相を呈していました。終了後行ったアンケートからも、楽しかった、分かりやすかった、今後も参加したい等のご回答をいただきました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

サイエンスカフェはりまNo.15
「形が変わるとはたらきが変わる 〜世界一のスパコン「京」を支えるオモシロ技術〜」

開催日2012.6.16(土)15:00〜17:00
ゲスト 関口 芳弘さん(理化学研究所 計算科学研究機構)
場所 姫路市花の北市民広場 (花北公民館) 第3会議室 (姫路市増位新町2丁目12)
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   今回は、構造物が、素材そのものの強度だけで支えられているのではなく、形状の工夫により、耐強度が大きく変わることを、紙とコインや割り箸など身近な道具を使って、お手軽な実験を通して学ぶことができました。そのことを通して、スパコン「京」やスカイツリーなど最先端の施設を支える技術に生かされている素材の形状の工夫に対する関心を高めてもらうことができました。
 また、簡単な実験によって確認できることから自らやってみようと考えるきっかけになったと考えられます。実際にやってみると予想とは違う結果になることが多々あるということを実感として持ってもらい、実験の大切さを大人にも感じてもらえることができました。
 今回も盛況で、32名の方にご参加いただきました。ありがとうございました。